うぉんばっとのぽっけ

国内や豪州のウォンバット・ウォッチング、写真や動画、英文情報の和訳紹介。

2018年02月

Gooday! 中の人二号=ユウトです。
可愛くて気になる黄色いウォンバット本 How to Scratch a Wombat を実際に読んでいく連載第5回は,第二章 "The History of Wombats" を読んでいきます。

祖先にあたるディプロトドン

十万年前のオーストラリア大陸は現在より湿潤で,大型のカンガルー,巨大なエキドナ,有袋類のライオンなどとともに,体長3メートル・高さ2メートルにもなるウォンバットの祖先「ディプロトドン」が闊歩していました。5~6万年前に人類がオーストラリア大陸に到達したことや,気候の変化などを契機に,これらの大型動物(メガフォーナ)は徐々に姿を消していきます。人類の食肉とされたり,食料となる植生が減少したりといったことが重なり,小型の近縁種のみが生き残っていったと考えられています。現在生き残っているのは皆さんご存知の通りNorthern hairy-nosed wombat(キタケバナウォンバット),Southern hairy-nosed wombat(ミナミケバナウォンバット),Common wombat(ヒメウォンバット/コモンウォンバット)の三種です。
IMAG0206ディプロトドンを画像検索すると,様々な想像図がヒットします。「数万年前のオーストラリアには2.5トンの巨大ウォンバットが歩き回っていた」という方向で考えてもよし。「古代生物ディプロトドンの生き残りが現代のオーストラリアで穴を掘って腹を掻いて草を食べている」と考えてもよし。現代と古代のどちら側から捉えても,生物進化のロマンを感じる……といったら大げさでしょうか。どちらも想像する分には可愛い(?)ですが,ジャッキーさんは「床下に住んでるのがモスボールでよかった。もし住み着いたのがディプロトドンだったら……」なんて書いてます。本当にお茶目な方です。

ウォンバットとヒトと

ジャッキーさんの本には,アボリジニの人々とウォンバットの関わりについても書かれています。どうやらウォンバットはおいしくないらしく,どうしても他の食糧が手に入らないときに仕方なくウォンバットを食べることもあっただろう,というのです。「カンガルーの肉やコアラの柔らかい毛皮が手に入るのに,どうしてわざわざ骨と筋ばかりの,毛羽立ったドアマットみたいなウォンバットを狩ろうとするでしょうか」とひどい言い様です。しかし逆に考えれば,もしウォンバットの肉が美味で毛皮が上質だったなら,彼らが既に絶滅していたかもしれないということでもありますね。
白人の入植者も最初の数年間ウォンバットの存在に気づきませんでした。夜行性で暗い色の毛に覆われたウォンバットが仮に夜間穴ぐらから出てきたとしても,入植当時の貴重な,従ってわずかな灯りに照らされて発見される機会などなかったのだろうとジャッキーさんは予測しています。その後,ブルーマウンテンズの探検隊が地元のアボリジニに教えてもらった whom-batt という名が定着していきます。
現代のウォンバット達は,牧畜(食料でウォンバットと競合したり穴ぐらを踏み固めたり)・駆除(違法ですが……)・自動車事故・山火事などの人間の活動の影響で減少し続けており,特にキタケバナは絶滅寸前です。ウォンバットの平均寿命は動物園で20年以上,アラルーアン周辺で14年程度,乾燥した地域ではたった5年程度だとジャッキーさんは報告しています。オーストラリアには交通事故に遭ったり「メンジ」と呼ばれる皮膚病*にかかったりしたウォンバットを保護し野生に返すための保護地が複数あり,それも善意で私的に運営されているものが多いようです。How to Scratch a Wombat の連載の次には,それらのウォンバット・サンクチュアリについて調べてご報告できれば……と思ったりしています。

さてさて,次回は第三章 "What Is a Wombat?" と第四章 "A Day in the Life of a Wombat" を併せて読んでいく予定です。それでは!

*「メンジ」と呼ばれる皮膚病:これに近い種のダニが人間の皮膚に寄生して起こる病気が「疥癬(scabies)」です。動物に感染するものは sarcoptic mange と区別して呼ばれているようですが,日本語の正確な訳が分からなかったので,仮にカタカナのまま表記しました。この病気については,もう少し調べられたら別記事を書く予定です。訳語についてのご指摘をいただいた方にこの場を借りてお礼申し上げます。(平成30年3月5日追記)

Gooday! 中の人二号=ユウトです。
可愛くて気になる黄色いウォンバット本 How to Scratch a Wombat を実際に読んでいく連載第4回は,前回に続き,アラルーアンに引き取られてきたモスボールのその後を読んでいきます。

モスボールの家探し

無事にアラルーアンに引き取られてきたモスボールは,その後まるまると肥えて敷地内の気に入ったところに穴を掘り始めます。最初の穴はうまく掘れなかったものの,ハーブ畑に掘った二つ目の穴は上手に掘り進んだ様子(ハーブ畑は一晩で土の山と化しました)。ところが,数日後に畑のスプリンクラーで水を撒いたところ,モスボールの家は水漏れを起こしたらしく,この二つ目の穴も諦めて出てきます。結局「中古物件」を見つけてリフォームすることに決めたモスボール。ラベンダーを千切ってきては寝床に敷いて,いいにおいのウォンバット穴の完成です。
さてこの冬,ジャッキーの夫妻はハーブ畑の跡地に寝室を増築することに決めるのですが,この増築部分の階段口の真下にモスボールの残した二つ目の穴の入り口が重なっていました。モスボールは別の穴に住んでいるのだから問題なかろうと思って工事を進めると,何と床板の完成に合わせてモスボールが戻ってきてしまいます。どういう訳か水漏れの心配がなくなったことを理解したらしいのです。
こうなると,ウォンバットが穴を諦めるか,人間が家を諦めるか。答えは明白,人間が家を諦め,モスボールは突如としてコンクリートの石畳にパティオにベランダまでついたオーストラリアで一番ぜいたくな(ということは世界一ぜいたくな)穴ぐらを手に入れたのでした。

Diary of a Wombatの誕生

あるときジャッキーは「モスボールの様子を絵本にしたらどうだろう」とひらめき,出版社に持ち掛けます。イラストレーターのブルース・ワットリーが描いたラフスケッチがさっそく送られてきます。モスボールの的確な描写に捧腹絶倒するジャッキー。ブルース・ワットリーの絵はウォンバットを絶妙な具合に表情豊かにデフォルメしてあり,これがジャッキーのユーモラスな語り口と化学反応を起こして,2002年に出版された絵本 Diary of a Wombat はオーストラリア中で大ヒットを記録します。さらには数々の賞を受賞し,各国語への翻訳版も出版され,ジャッキー・フレンチ&ブルース・ワットリーのコンビはその名をとどろかせます。そしてこの作品は,Diary of a Wombat シリーズとして続編も出版され,今では不動の名作とさえ評価される絵本界の古典になりました。これらの絵本シリーズのモデルとなったウォンバットこそ,キャンベラで重傷を負い,ジャッキーに引き取られてきたモスボールだったのです。
Diary of a Wombat
Jackie French
HMH Books for Young Readers
2009-03-23

ジャッキーは,How to Scratch a Wombat を,Diary of a Wombat を補完するノンフィクションの兄弟分として書いたと記しています。そこには,自分の本が海外でもベストセラーとなってしまい,もはやウォンバットが何なのかよく分からない人たちにまで読者層が広がっている現状に対して,「ウォンバットはクマでもタヌキでもなく,こんなに愛おしいオーストラリアの隣人たちなのだ」と知ってもらいたいという願いが込められているようです。
Diary of a Wombat は海外から在庫を取り寄せることもできますし,こちらのサイトでは著作者の許諾のもと子供向けの読み聞かせの動画が公開されています。また,同じ内容の動画はYouTubeからも見ることができます。
日本でも『ウォンバットのにっき』というタイトルで翻訳版が出版されていましたが,現在は在庫の取り扱いを見つけることはできませんでした(当ブログの読者の中にも,お手元にお持ちの方もいるのではと思います)。

さて次回は第二章 "The History of Wombats" へとページを進め,ウォンバットの進化の歴史を読んでいきます。それでは!

三連休の真ん中に東山動物園に行って来ました‼
ようやく日本国内のウォンバットさん達みんなに会えて嬉しくてたまらん。
ウォレス君あいたかったよ‼‼‼
可愛すぎるごめん寝姿が初対面なんて幸せ過ぎる。
DSC_0352
DSC_0353
DSC_0360
DSC_0364
DSC_0368
DSC_0369
一回起きてはもふもふと干し草に顔を潜らせ再び顔を上げる仕草が可愛くてずっと見ていられました。

DSC_0372
DSC_0374
DSC_0376
DSC_0377
DSC_0379
DSC_0381
DSC_0383
DSC_0384
DSC_0385
DSC_0389
DSC_0391
DSC_0393
DSC_0396
DSC_0400
DSC_0423
DSC_0420
DSC_0419



再び土管へ帰ってから数分後、あっという間に奥のお部屋へ帰ってしまいました。
この時、雨も降ってきてとても寒かった。

ウォンバット好きなフォロワーさんにもお会いする事が出来ました。
東山の動物たち、そしてウォンバットを凄く大切に見守って居る事が伝わり、何だか嬉しくなりました。そして、ココの子達の歴史に詳しく、以前居たウォンバットが、自身のウォン舎の耐久硝子(鑑賞ガラス)を穴掘りの過程で割ってしまい、ガラスを補強した場所などを教えてくださいました。
お話、本当にありがとうございました。

この後、数時間粘りましたが、寒さが厳しく昼頃にはウォン舎にさよならをし、早々ホテルにチェックインをしました。凍えましたが満足感がすごかった。
DSC_0347
DSC_0346
DSC_0348

それから、名古屋駅前のモニュメントにシドニーと名古屋が姉妹都市である事を知り、納得しました。
nsw州はウォンちゃんもふもふ州なのだから。

DSC_0448

夜は味噌カツを食べに町へ繰り出し、『わごころ 兜 金山店』さんで一杯しながら
今日のウォン写真をおつまみに、オーストラリアのワインの『ジェイコブス・クリーク 赤』
を美味しく頂きました。他の料理も美味しすぎて、必ず次回も行くこと間違いなしでした。
DSC_0445
飲んだ帰りは電車ガラガラで、名古屋も夜は静かなのだなあと思いました。
酔った勢いで無人列車でウォンバット撮影会して、本当に恥ずかしい大人です・・・ごめんなさい
DSC_0454
DSC_0451
DSC_0461
翌朝、熱田神社さんにお参りをして、境内に放し飼いのチャボ?に挨拶。
長距離バスの為、早々と名古屋を離れる事になりましたが、もっとゆっくり滞在したいものです。


名古屋は寒く、面白い町でした。そして、東山動物園のウォレス君、健康に元気に長生きして下さい。

Gooday! 中の人二号=ユウトです。
可愛くて気になる黄色いウォンバット本 How to Scratch a Wombat を実際に読んでいく連載第3回は,第一章 "Writing with Wombats" の続きを読んでいきます。

ニンジン大好きモスボールさん

スマッジとの出会い以来,徐々にウォンバット・エキスパートになっていった著者のジャッキー・フレンチさん。敷地から野生動物を締め出すことなく共存していく経験とコツを蓄積し,果樹園の経営も軌道に乗せました。
そんなとき,ウォンバット孤児のケアも担っていた彼女のもとに「モスボール」が託されます。モスボールはキャンベラで犬に襲撃され深手を負ったウォンバットで,たくましい生命力で回復を見せたものの,毛並みが虫食い(moth-eaten)のような継ぎはぎ模様になってしまったことから「モスボール」と名付けられました。(英和辞典で mothball を調べると衣類の虫食いを防ぐ防虫剤とのこと。)
このチャプターの読みどころの一つは,モスボールを車に乗せ,キャンベラからアラルーアンまで連れて帰るくだりです(pp. 7―8)。元のケアテイカーに惜しまれつつモスボールを引き取る際,「ニンジンが大好物なんですよ」と言って何本かのニンジンを毛布と一緒に渡されます。
モスボールとニンジンの入ったケージを後部座席に置いて車を出したものの,キャンベラ郊外まで走らせたかどうかのあたりで,バリバリとニンジンを食べる音が聞こえなくなってしまいます。代わりに聞こえてきたのは「フン,フン,フン,フン……!」と次のニンジンを要求するモスボールの鼻息。おかわりはないのだと分からせようとしても,ケージを揺さぶってケージごと座席から転がり落ちたり,プラスチック製の枠をかじって破ろうとしたりと,まったく落ち着く気配はありません。
ジャッキーは計算します。ケージの枠を1本かじり切るのに10分かかるとしたら,6本かじり切って車内に這い出てくるまで60分。アラルーアンの自宅までは急いでも80分。ということは,怒れるモスボールが車内に飛び出て,座席からハンドルから運転手までかじり倒す時間が丸20分も残ることに!観念したジャッキーは,途中の町で車を停めてたっぷりニンジンを買い込み,ケージに放り込みます。その場面の印象的な原文を引用します(後段は拙訳)。
Crunch. Crunch. Crunch. It was a happy sound, the sound of a wombat who is training her human to provide all the carrots she wants. バリバリバリ……幸せそうな音です。それは,要求した分量のニンジンは不足なく差し出すように,と人間をしつけるウォンバットの音でした。

次回も引き続き,モスボールの話を読んでいきたいと思います。次回,作家デビューのきっかけとなったスマッジとはまた違った意味で,モスボールが特別なウォンバットである理由が明らかにされます。それでは!

20180207_161324_HDR

自作グッズを作って来ました!
自分達の為に手作りできる工房を探しガッツリと(о´∀`о)
世界観でたった一つのウォンバットグッズで明日からコーヒーを飲もうと思います。
20180204_222327_HDR

部屋の壁もウォンバットだらけにしております。
毎日ウォンバットについて考えるだけで幸せに生きていけて、何だか不思議です(笑)
先週末に発注したスノーウォンバットって言う絵本が届くのも合わせて考えると更に幸せに!!
私の人生を豊かにしてくれてありがとうウォンバット!
20160811_142714-1

このページのトップヘ